BIR: きょうも延長ナリ / 爪 切男
きょうも延長ナリ 単行本(ソフトカバー) – 爪 切男
- amazon: きょうも延長ナリ)
あらすじ
※ Amazonより抜粋
毎日なんとなく退屈で、なんとなく満たされない。 そんな迷える40男はきょうも風俗店に通う。 狭いホテルの一室で風俗嬢と二人きり。 一緒にかくれんぼをしたり、サッカーを観戦したり、 ときにはコンプレックスを抱える女性を励ましたり。 “Hなこと”をするだけでは終わらない、ちょっとおかしな風俗回遊記。
感想
爪切男先生の他作品を読んでいたため、こういう単発コラムはどうなのかなと思って購入。 コラム内容自体は、SPA!らしいコラムだなという感想。 最近sex workについて考えることがおおく、是非については非な立場にいる。 私自身90年代、00年代に享受していたエログロナンセンス、90s的サブカル文化などを、是として生きていたため、その反省が必要。 90年代的オタク感覚(主語というか言葉に内包される意味が多くありすぎるが)について、しっかり一旦立ち止まって自分の頭で考えたいという気持ち(反射で、これは○○だから〜となるのを防ぐ)
本の感想: 爪切男先生の文章は読みやすくて、すごく自由だけど孤独な時期の都会の午後5時みたいな空気感がある。 この読んできるときに感じる、この感覚がすきだからまた新刊読んじゃう。 共通のテーマ(テーマというより、コンセプト?爪切男先生の生というかんじ・・・)がどの話にも、コラムにもあって、それを接種したいがために読んでるかんじ。 爪切男先生の本は希死念慮がそこらここらにずっとある。疲れているときに読むと疲れ果てる。 うまいなあとおもうのは、それを文章のよみやすさと滑稽みでうまく隠しているようではいるが、伸びるシリコンを貼り付けて覆っただけなので、むしろそのものをドンとだすよりメランコリックだ。 まるで世間がこうであってほしいと望む「理想の弱者男性」を描いているようで、それは意識しているのか意識していないのかはわからない。これはいつも爪切男先生自身が常に小説の主人公だから、描いているようではないけど描かれているような、理想を提唱されているようなそういう感覚になるのかも。 まるで実際の「女」のことを描いてないけど、だからこそ書かれていない「女」が浮き彫りになるという感覚。 これも爪切男先生自信が常に先生の作品の主人公だから、「女」がわからない。「女」をしりたい。しかし知りたくない。みたいな、描かれていないことも、描かれているように感じるのかなあとか。
ハイライト
- 孔雀を背負う女
- 「いいんだよ。だって、この体はおじさんの体なんだからね」
- 燃やす女
- だって、私は感動していたのだ。「女に火をつけられるのって、めちゃくちゃ気持ちいい!」と。
- 引っ越し前夜の女
- ああ、なんだか今夜は最終回みたいな夜だ。